周波数特性と位相について

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いきなりだけどこれがうちで測定したリスニングポイントの周波数特性(周波数の数字がトリミングで消えているけど、20〜20kHzのlog表示)。ソフトは有名なwave generator と WaveSpectra を使って、digidesign Mbox 2を経由してコンデンサマイクで録音した。低域と高域がどこまでアテになるのかは不明。
±10dBくらいうろうろしている。これがアンプの特性だったら大泣きだけど、部屋の特性としてはフツー。オーディオ専用部屋ではないので良しとするべきか。100Hz〜200Hzでのディップを消そうとしてスピーカ位置ずらしたり、物を置いてみたりしたけどほぼ効果なし。リスニングポイントをずらすほうが効果あり。ただ、リスニングポイントなんて毎日違うので、こだわってもなんだかなあ、と思うと同時に、前段でのf特に超こだわるのも悲しくなるような結果でもある。
というか、周波数特性の伸び、は重要な要素には違いないけど、その帯域内でのゆらぎは、部屋のまったくもって酷い特性からしてみりゃ誤差内なのではなかろうか。だから、真空管アンプでもその線形性さえよければ気持ち良く聴こえたりするのではなかろうか。周波数特性が人間にとって敏感な部分だということは、十分承知だけど、前段の機材で特性が±1dBずれたああああ!と騒ぐには部屋というものの特性が悪すぎやしないだろうか。何が言いたいのかというと、周波数特性というものに対して、人間は次のように感知しているのでは?という話。

  • その差はすごく感知できる(それこそ±1dBでもわかる)が、機材クオリティの差とは、そこまで思わない
  • そのレンジによって、機材クオリティに差を感じる

この「差」がわかるが、「機材クオリティ」の差とは思わない、というところが重要。
にも、かかわらず、人間はオーディオの機械を例えば高級なものに変えると、(差ではなく)音質が向上した!と(確実に)思うので、それは、主にf特ではなく、S/Nとか、位相とか、駆動力にからんでいるのでは?と思うわけです。

今回の経験で、位相について色々考えされられたので、そのなかの位相について特に記述してみる。全部根拠なし。聴いた感じからの感想ということで。
まず、位相のずれ、といってもややこしくなるので、群遅延の値、という特性でみてみる。群遅延の説明は前記事参照。群遅延がずれると、低音、高音共に、威圧感として表れてくる。それが無くなれば無くなるほど、威圧感が減る。
じゃあ、スピーカーのバスレフとかはどうなんだよとかあるかもしれないけど、距離と位相角度の関係は、低音ほどシビアじゃなくなるので、聴感上感じにくい=低音の位相はそこまで気にしていないスピーカが多いのでは、と推測。
LINNの高域ユニットを同軸に近づける試みとかは、すごく納得いくなあ。まとめると、こんな感じ。

  • 現代の機器は、周波数特性という意味ではもう需要を満たしている。周波数特性の改善が必要なのは殆ど部屋である。
  • 機器がこれからがんばるべきは、S/N、位相の群遅延、大信号が乗ったときでも小信号を正確に再現する能力(電源能力?)、である。