Kindleしばし使ってみて、の感想

なんかiPadがどーので日本でも電子書籍の議論が盛んなご様子なので、僕もここらでkindleについて感想を。
まず思うのが、実用に徹してるなということ。ぶっちゃけ、kindleで読んで快適なのは、図も絵もあまり重要でなくて、過去のページもあまり参照しない、文字だけで淡々とページをめくるだけのタイプの本、つまるところ小説や新書の類いのみ、というところ。
そしてそれを快適に読ませるためにまずデバイスをeInkにして、妙なことはせず全部ハードウェアのボタンにしてある。日本の例で言えばポメラ並の潔さがある気がする。だから、読んでて気が散らない。そして、まあこれは誰でも気付くけど、3G回線でいつでも購入できて、amazonがちゃんとそのソフトを提供しているところ。ちゃんと経済圏を作ってあげているのが親切。やはりこういうデバイスは買ってみたものの、で、どう使おうか、というところで終わってしまうというか、なんだかんだとただのデバイス萌えですね、というオチになりがちなので、そうさせないamazonはすごい。普通の企業では1コのデバイスの為にそこまでしないだろう。amazonの規模でも、相当の覚悟がいるはず。とりあえず、アメリカには、小説を読むのがすごく好きな層というのがいて、その人達の為のデバイスだと感じる。それ以外の用途はおまけ程度でしかない。最新verではwebkitベースのブラウザも付いたらしいけど、本質的な機能を邪魔するものではないだろう。
つまるところこれはコンピュータじゃない。小説読み機。その一つのデバイスの為にわざわざamazonは市場まで作った。前例もないのに。そこまで大規模な覚悟の上に作られたデバイスが、複数の人からの圧力に屈して方向性を見失ったり、汎用化したりせず、一人のデザイナーが、自分の小説好きな思いを込めて設計したような美しい形状を保っているというのは、恐しいことだ。