群遅延の安定性(位相ダンピングファクタ?)

raspy2007-07-28


今日の記事はちょっと微妙な記事。おかしかったら教えてください……で、本題。

理屈

以前の記事 (http://d.hatena.ne.jp/raspy/20070513)で周波数特性の微妙な変化というのは殆ど部屋の特性として埋もれてしまい、群遅延特性のほうが心地良さのパラメータとしては重要なのではという話をしたんだけど、それから、実際にそれを回路に反映させるテストをしてみた。
D級アンプ(tripathといったほうがいい?)の場合、出力段に必ずローパスフィルタが必要で、そこで位相の回転が起こる。ただし、位相の回転は数十kHz〜数百kHzでおこるので、可聴域外となり、大きな問題とはならない。
ただ、このローパス回路によって、仮にPWM波の段階で理想的な特性のアンプだったとしても、繋ぐスピーカーのインピーダンス変化により群遅延に差が発生する。スピーカーのインピーダンスが最大でどこまでいくのかは、なかなか公表されていないけど、測定データなどみると数十Ωにはなる場合が多いようだ。6.8Ω〜50Ωくらいに変化すると仮定(うちのtamino X2での仮定)して、その群遅延の差は数百nsになる。
それを防ぐために、ローパスフィルタの後段に図のような回路を挟む。こうすることによって、群遅延差は数十ns(50ns以下)程度まで縮まる。ただし、その代償としてf特がふらつくことになり、最大で-4dBの降下がでてしまう。-4dBといっても、ワーストの値で、実際には知覚困難な程度。スピーカーのインピーダンスが例えば7〜15程度のふらつきでおさまっているなら、f特の動きは-1から-2dB、群遅延の動きは20ns以下に収まる。

これはどういうことかというと……俗にいうダンピングファクタを下げて、そのかわり群遅延に対するダンピングファクタを上げた、ということになる。さてこれがどう音に影響するのか。

試聴

改造するとその方が良く聴こえるのが人間の性なのと、改造前の状態と改造後の状態を同時に聴くことはできないので、改造した状態で1ヶ月試聴、もどして1ヶ月、さらにまた改造して……というのを繰り返した。というのも自信がなかったから。その結果、改造版のほうが、ナチュラル感が増す、というか、以前にも書いたけど威圧感が減る感じがする傾向にある。ひたすら比べた結果、1グレード高いのを確認できた。ホントはもっと過激によくなったぜ! とか書きたいけどやめておきます。

注意

やってみよう、という奇特な方へ。パーツの最適値がスピーカーによって異なるので、そのままの値でやらないでください。